いじめ

いじめ

森田・清水(1994)は、いじめを「同一の集団内の相互作用過程において、優位に立つ一方が、意識的にあるいは集合的に、他方に対して精神的・身体的苦痛を与えること」と定義しています。

ここでは、いじめの被害者のみならず、加害の方になってしまった子どもへの個別の支援・指導の方法、集団への支援・指導方法はもちろん、いじめが起きてこないために、事前にどのような教育プログラムが必要であるのかなどについても考えていきます。

一人ひとりが集団の中で居心地よくいられるように、教師は何を配慮し、何をしなければならないのでしょう。
また、保護者は、わが子のみならず、教師や子どもを巡る人間関係をより良いものにしていくために、何ができるのでしょうか? 何をすることを手控えると良いのでしょうか?
など、いじめを巡るさまざまな指導、支援、協力方法を考えていくことにしたいと思います。

イラストは以下からいただいています。 サイト名 ふわふわ。り URL http://shimizumari.com/fuwa2li

 

 

いじめ被害を訴えてきた子どもへの対応

いじめ問題の早期対応 いじめの問題が深刻化する前に、子どもは以前とは違った様子を示すことがあります。先生は子どものそのような変化に敏感であってほしいと願っています。

次のような変化がみられることはありませんか?

① いつもは元気なのに、最近、元気がないことが多い。
② 憂鬱そうにしている時が増えた。
③ 表情があまり動かないことや、笑顔が不自然で無理をしているようだ。
④ 急激に成績が下がる。
⑤ 行動や反応が鈍くなる。

そのような時には、「いつも頑張っているけれど、調子はどうかな?」「元気がないようだけど、心配なことがあるのかな?」「嫌なことがあるのかな?」「気がかりなことがあるのかな?」などの声がけとともに、「心配なことがあったら、いつでも、話してね」と伝えるとよいでしょう。

そのときに、子どもが「何でもない」「大丈夫」と答えたとしましても、「誰かに相談してみようかな・・・」と迷うよう時には、自分の不快な感情を読み取り、変化に気づいてくれて、心配してくれている大人のところへ、相談に行くものです。

いじめ被害者は、誰も自分の味方になってくれないという「孤立感」、どんなに頑張ってもさらなるいじめを誘発してしまう「無力感」、いじめ被害者の苦しみとは裏腹にいじめ加害者が仲間同士で楽しそうにしているという環境の落差を不当と感じる「不当感」、表面的な対応で問題解決して、指導が終わってしまった教師に対する「不信感」など、さまざまな苦しみを味わっていると言われています。

その苦しみを十分に汲んで支援する必要があるのです。

2 いじめ被害者への支援の手順

次に、いじめ被害者への具体的な支援の手順を示しました。

① 相談できたことを承認しましょう

子どもは、勇気を奮って相談しに来たのですから、そのことを労い、「よく話しに来てくれたね」とゆったりと受け入れることが大切です。

② 子どもが感じている不快な感情を言語化します

事実確認は後回しにし、最後まで、本人の話を聴いた上で、「辛かったね」「悲しかったね」「それは悔しかっただろう」と不快な感情を言葉で伝えます。

子どもが感じている不快な感情を言葉で表現しながら、受け止めてください。

また、今感じている、悲しみ、怒りなど不快な感情は、感じて当然であり、誰でもそのように辛い目にあった時には感じるものであることを伝えます。

暴力を受けているならば、その傷の手当てや、病院で診察をすることが優先されますが、その時にも、対応は同じです。

③ 全面的に味方になってください 「あなたは悪くない」と伝え続けます。

何らかの事情があったとしても、「あなたにも悪いところがあったのではないか」というかのような関わりは、もってのほかです。

一般的に、いじめの被害者に限らず、犯罪被害者ですら、自分が悪いと考えてしまいがちなことは、全世界的な傾向であり、人間が普遍的に持ちやすい傾向と言われています。

本人が、「いじめられるダメな自分」と自己否定的にならないように、その子どもが感じて当然な苦しみ、悲しみを承認することが何よりも大事なかかわりとなるのです。

④ 安全を確保します

いじめ被害を受けた子どもの安全と安心を確保する必要があります。

場合によっては、別室や相談室、保健室で過ごすなど、一時避難的な対応も必要かもしれません。

問題が深刻化し、登校できないような場合には、各区市町村教育委員会管轄の適応指導教室への通級も視野に入れても良いのではないでしょうか。その場合には、その子どもが不利益を被らないよう配慮してください。

在籍校の出席扱いにすることは言うまでもないことですが、学習面、配布物など、情報は常に伝えるようにしたいものです。

⑤ 問題解決の手順は被害を受けた子どもに確認しながら行ないます

安全と安心が確保された上で、問題解決するために、いじめ側に関わっていきます、誰にいつ、どのような対応をするのかについては、いじめられた子どもに、具体的に伝えて、「そうしたいのだけれど、どうか?」と尋ねます。

いじめられた子どもは、先生が関わった結果、めぐり巡って、自分が次にどのような目に合うのかということは敏感に感じ取るものです。本人の意向をよく聴いた上で、問題解決に当たるようにしましょう。

⑥ いじめが収まってからの支援

いじめが収まってからもいじめられた体験は、その後の対人関係に少なからず影響を及ぼします。

周りから疎外された体験や、集中攻撃を受けた体験によって、対人不安や対人恐怖など、人に対する怖さや不安を持つようになり、人とのかかわりを意識的に避けたがるようになるからです。

大切なことは、安心できる人と一緒に過ごすことです。

本人が信頼している先生とゆったりとお話をすることがあっても良いですし、子どもの好きな教科の先生が、意図的に関わり、お話をしたり、褒めたりすることも効果的です。

出来たことは、「よく出来ているね」「辛いのに、よく頑張っているね」と声をかけ続け、自己肯定感を高めていきたいですね。

⑦ エネルギーを充電するために

本人が遊びたい友人、または教師や家族と遊ぶことも意味があります。このとき、身体活動を伴う遊びができるならば、より好ましいといえます。

卓球や、縄跳び、トランプや、集団遊びなどを選んで、本人と無理なく、楽しく遊ぶようにします。これらは活動性を高める遊びといえます。

また、ごっこ遊びや絵などを自由に描くことなども良いでしょう。これらは、表現活動を促すことになるからです。

上記の遊びが、こころのケアには大きな意味を持ちます。遊びの中で、怒りなどの不快な感情が表現できるようになってくれば、こころにエネルギーが溜まってきた証拠です。

また、本人の表情や感情表現が豊かになり、活動性が上昇してくることが、こころのケアがどれだけ進んだのかの指標となります。

人との関係に傷ついた子どもにとって、人との関わりで楽しい経験をすることは、とても大きな治療的効果があるといわれています。このような関わりを、一緒にいて安心できる人が丁寧に行なうことが、いじめられた子どもに対応する上で大切なことでしょう。

2014年1月1日 |

いじめをしてしまった加害側の子どもへの支援

いじめの手口としては、「悪口」「からかい」「無視」「仲間はずし」が多いといわれています。

「無視」「仲間はずし」は、いじめられる側に危害を加えて、心理的に苦痛を感じさせる行動です。これも攻撃性の一種であるといえるでしょう。

(1) 不快な感情を言語化します

攻撃的な行動をするときの感情は「怒り」や「衝動的な嫌悪」が主です。

その不快な感情は、否定せずに、言葉にして受け止めるようにするとよいでしょう。

「腹が立って仕方がないんだ」「自分でどうしようもないくらい、いらいらするんだね」とか、「そのことが、嫌だって感じるんだ」などと受け止めるのです。

もちろん、いじめの行為については、「してはいけないことである」ことは指導します。

しかし、その前に、その子どもが感じている不快な感情は、言葉に出して受け止めるようにするのです。

そして、「そのような行為(いじめ)をしてしまうあなたのことを心配している」と、向かい合うようにします。

(2) 不快な感情の後ろにある「願い」に気付かせるようにします

子どもの不快な感情の後ろには子どもの「願い」があります。「相手に、どうしてほしいのだろうか?」、「何のためにそうしたのだろうか?」、「何を得たいのだろうか?」、といじめと思われる行為の目的を確認するようにします。

怒りの背後には、他者に変わってほしいとの願いがあるはずです。言い繕いや、単純な責任転嫁には応じないようにし、自分がそのような行為をしたくなる目的を明確にさせることを手伝います。

(3)具体的な表現方法を見つけます

たとえば、「相手の行為を改めたい」「自分に対して、何かをしてほしい(してほしくない)」という願いを相手に伝えるために、「もっと他に良い方法がないのか」を、教師が一緒に考えるようにするとよいでしょう。

「憂さを晴らす」のであれば、「自分にとって、もっと楽しいこと」「もっとうきうきできること」などストレス発散・解消方法を考えるようにします。

「他の人よりも優位に立ちたい」のであれば、本当の意味で人よりも優れているとは、どのようなことをすることなのかを、一緒に考えます。

また、子ども自身が気付いていない、その子の良さや、他の人よりも優れているところを伝える必要もあります。「他の人よりも優位に立ちたい」という思いの裏には、「誰かに認められたい」「誰も自分のことを認めてくれない」というメッセージがあるのかもしれないからです。

(4)個別支援から集団支援へ

また、いじめの問題は、人間関係の問題なので、置かれている立場によって見える現象も異ります。

例えば、からかいやイタズラ、遊び半分で行なわれるいじめなどは、いじめられた側といじめた側の事態の受け止め方や認識が異なることも多いものです。

このことが、いじめを見えにくくしたり、陰湿にしてしまったりする要因ともいわれています。

いじめ側の立場では、自分自身の振る舞いに無自覚な場合も多く、仮に自覚をしていても、自分自身が責められるかも知れないと考えると、自分に不都合なことは認めにくいといわれています。

いじめをしてしまった子どもへの介入を行なう時に大切な事は、いじめを受けた子どもの意向を確認しながら進めることです。

どのような指導を行うのかについて事前に話し、その経過や次に行なうことなどを伝えるようにします。教師の指導が、巡りめぐって、わが身にどのような影響を及ぼすかについては、被害を受けた子どもは、事態を正確に予測するものです。

このようにすることで、子ども同士の関係を知ることもでき、被害を受けた子どもを守りながら指導をすることができるでしょう。

双方が納得しないうちに、表面だけでの解決をさせても、子どもたちは教師のいじめに対する認識の甘さをつかみ、さらなるいじめが行なわれる場合があります。

教師は楽観視することなく、事態を真摯に受け止めるようにしてください。いじめはいじめを生みやすいので、いじめの再燃や新たないじめが発生しないよう、教師は毅然とした態度で、しかし、一人一人の子どもの心に寄り添い、集団への支援を行うことが大切です。

2014年1月3日 |

いじめてしまった子ども(加害側)の保護者に連絡するときには

1 事実を正確に伝えます

いじめてしまった加害側の子どもの保護者に連絡をする時には、まず、事実を正確に伝えるようにします。この時に、子どもを非難する言葉は慎みます。

先生の心情としましては、被害を受けた子どもの立場に立ち、加害側の子どもと保護者に対して一方的な指導をしたくなるかもしれません。

しかし、事実を伝えられた保護者は、子どもが加害者であるという事実を知ることだけでも動揺するものです。

「悪いことをした」「何ということをしてしまったのだろう」「どうしたら良いのか」と困惑するでしょう。

また、一方的な強い指導を受けた保護者は、学校から責められている不快感から、感情的に子どもを叱りつけるようなことになり、結果として、いじめが増幅することや、いじめが巧妙になり、更に見えにくくなってしまうことがあります。

その時の対応次第で、その後の子ども同士の関係、親同士の関係、また被害者、加害者と学校との関係に大きく影響するといっても過言ではありません。

「このことは良くない行為です」と言う一方で、「そのような行為をしてしまったことを、とても心配しています」と、先生が、いじめをしてしまった子どもを心配していることを伝えるようにします。子どもの行為そのものは悪いことであるが、子どもの人格を損ねるような発言は控えたいものです。

「行為」は学習によって身につけたものですから、学習によって修正することができると考えます。

2 問題解決のための理解と支援方法を伝えます

いじめてしまう子どもの攻撃性の背景には、家庭や友人などとの対人関係が不安定な場合があります。

そのような場合、心地よい仲間関係や、対人関係を作る経験が少ないことが原因となっていることもあるのです。それも十分に考慮して、具体的な解決方法を保護者に伝えるようにしましょう。

被害を受けた子どもへの謝罪や加害側の子どもへの指導は、被害を受けた子どもの意向を確認しながら、進めていくということも伝えるようにします。

いじめてしまう子どもへの指導は、早く解決したいという教師の思いが先走り、一方的になってしまい、かえって解決を遅らせてしまうこともありまる。危機対応は早急に行ないますが、人間関係の修復は焦らないように配慮をする必要があるのです。

いじめそのものは許されない行為である、ということは言うまでもありません。

しかし、その行為の目的が、「相手の行為を改めたい」「自分に対して、こうしてほしい」という願いがある場合には、その願いは受け止めるようにします。

また、「憂さを晴らす」のであれば、「自分にとって、楽しいこと」「うきうきできること」など、別のことを考えるように促すようにします。

「他の人よりも優位に立ちたい」ということであれば、本当の意味で人よりも優れていることは、どのようなことをすることなのかを、一緒に考えるようにします。

これらのことは、学校で、教師が行うべき関わりですが、保護者にもそのように関わることの大切さを伝えるようにすることも必要でしょう。

また、子ども自身が気付いていない、その子の良さや、他の人よりも優れているところを、本人だけではなく、保護者にも伝えるようにすると良いでしょう。

「他の人よりも優位に立ちたい」という思いの裏には、「誰かに認められたい」「誰も自分のことを認めてくれない」という意味が込められているのかもしれないからです。

そのことについては、先生が十分に把握した上で、保護者の協力を得るように伝えていくようにします。

いじめてしまう子どものさみしさや怒りなど、不快な感情を家庭で十分に受け止めれば、改善が大いに期待できるものです。

このときに、一方的に保護者に何かを求めるのではなく、「学校と一緒に子どもを支えていきましょう」という姿勢を保ち、そのことが伝わることが大切です。

3 教師と家庭との間に認識の差異が生じた場合には

いじめの問題は、人間関係の問題であるといっても過言ではないでしょしう。そこで、置かれている立場によって見える現象も異なります。

例えば、からかいやイタズラ、遊び半分で行なわれるいじめなどは、いじめられた側といじめた側の事態の受け止め方や認識が異なっていることがあります。

このことによって、表面化したいじめでさえも見えにくくなってしまうことや、陰湿なものにしてしまうことがあるともいわれています。

いじめ側の立場では、自分自身の振る舞いに無自覚な場合も多く、仮に自覚をしていても、自分自身が責められるかも知れないと考えると、自分に不都合なことは認めにくいものです。

そのようなことから、いじめについて、子どもの認識と、先生が保護者に伝えることに差異が生じてしまうことがあります。

大切なことは、その認識の差異を明らかにし、差異が生じてしまう要因を保護者と本人を交えて、じっくり話し合うようにすることです。

また、管理職を含め、他の先生や心理職が複数で関わるようにします。

いじめの事実を伝えた時に、保護者が認められない、受け入れられないというような場合、保護者が、一方的に子どもを責めているようなことや、強く叱りつけていることが考えられます。

その裏には、幼児期から逸脱した行動が多く見られ、地域や幼稚園、保育園の先生から注意を多く受け、子育てに自信を失っている場合や、子どもが注意を受けることで、保護者自身が注意を受けているように受け止めてしまう場合なども考えられます。

被害を受けて苦しんでいる子どもを配慮しつつも、双方ともに「お子さんを心配しています」と伝え続けることが、いじめ問題の要諦なのです。

2014年1月7日 |

いじめ被害を受けた子どもの保護者へ連絡するときには

1 電話連絡で伝えること

いじめが発覚した時には、教師が一人で抱え込まず、学年主任や管理職に速やかに報告、相談をして指示を仰ぐようにしましょう。

保護者への連絡は担任の先生、管理職が行い、担任としての誠意と、管理職の責任の下で、問題を真摯に受け止めて解決に当たっていくという姿勢をしっかりと伝えます。

暴力を受け、怪我をした場合では、病院での治療や診察を優先しますが、同時に、保護者へ正確に子どもの状態を説明し、管理が行き届かなかったことについて謝罪します。

辛い思いをしている子どもを心配する保護者の気持ちを十分に汲み取ることが大切であり、保護者には、過剰な心配をかけないよう、且つ軽率な対応にならないように配慮します。教師が問題を軽く判断してしまい、連絡が遅れたことによって、問題がこじれることもあります。

保護者への連絡は速やかに行なうようにしましょう。また、まめに連絡を入れるようにします。電話で連絡をした後、その日のうちに家庭訪問し、今後、子どもの安全を確保すること、安心して学校へ来ることが出来るように最善を尽くすことなど、具体的な手だてを伝えます。

2 今後の方針を話し合います

まず、学校として至らなかった面は謝罪します。しかし、謝罪をすれば問題が解決するものではありません。子どもの安全が確保され、安心して学校で過ごせることは、すべての保護者の願いです。いじめにあった子どもの保護者は、子どもが危険に晒されていることを心配するのは当然と受け止めてください。心配している保護者の願いを十分に受け止めることが大切です。

その上で、今後の方針を定めていくようにします。いじめてしまった加害側の子どもからの謝罪、その子どもへの指導、学級や学年への指導など、今後のことは、被害を受けた子ども本人の意向を確認しながら進めるということを伝えるようにします。

場合によっては、別室や保健室、相談室での対応になることや、適応指導教室に一時避難的に通級することも視野にいれます。その場合では、本人の不利益にならないように配慮しつつ、本人を守る選択肢であることを強調して伝えるようにします。

3 いじめられた子への家庭での関わり方

いじめ被害者のケアや保護者面接はスクールカウンセラーに依頼することもありますが、いじめにあった時の一般的な心理的症状と治療的支援方法は、先生からも保護者に伝えたいものです。

いじめ被害にあった子どもは、その時の恐さや辛さが継続することがあります。その辛さや恐さが怒りとして現われて、急に怒りだすようなことや、悲しみに襲われて泣き出すようなこともあるのです。

一般的に、危険に晒されるような経験をしたあとに、安心していくプロセスで、そのような状態になりやすいのです。

保護者には、そのようなときには、「嫌だったんだね」「恐かったんだね」「いらいらしてしまうんだね」と、不快な感情を言葉で伝え、安定して受け止めるかかわりをお願いしておくようにします。

いじめ被害にあった子どもの保護者は、対人関係や、学習面など、子どもの学校での生活全般に支障をきたすのではないかと不安を抱く場合もあります。その不安な気持ちは、肯定的に受け止めるようにします。

また、子どもが今までとは違った行動や様子を示した時には、学校に相談してほしいということも伝えるようにします。環境が整っているようであれば、学校に配置されたスクールカウンセラー、相談員など、心理職との同席面接や、保護者が望むようであれば、個別の相談を受けることや、教育相談センターのような教育心理専門機関を紹介できるということも伝えるようにします。

また、対外的には、市町村の教育相談所や教育相談センターなどの専門機関と連携をして、保護者面接を進めることや、専門機関を紹介することも良いかもしれません。

4 保護者との継続した連携が大切です

教師の指導によって、いじめがなくなったように見受けられても、一時的に表面化しなくなっただけの場合もあります。学校が行なっている対応については、その都度、保護者に伝えるようにします。また、子どもの学校での様子についても伝えるようにします。

子どもが、不安や恐さや、怒りなど不快な感情を表現できるようであれば、「上手に表現することができるようになりましたが、ご家庭ではいかがですか?」というように、回復に向かう上で必要なことは、大切な情報として、家庭での様子を伺いながら伝えるようにします。

その上で、「お子さんは、○○が不安なようですので、△△のように対応しました」「その対応によって、お子さん自身は『大丈夫』と言っていますが、こちらは心配しています。ご家庭でも、そのようなことが話題になりましたら、遠慮なく私に相談してください」と伝えるようにします。

先生が、一つの対応だけで終わらずに、次の一手を考えてくれているということが保護者との信頼関係を築くことに繋がり、保護者は安心するものです。

また、子どもが頑張ったこと、出来たことについては、必ず保護者に伝えるようにします。

例えば、授業の準備のために、資料室から教材を運んでくれた。お掃除を頑張ってくれた。給食の後片付けを最後まで行なってくれた・・・など、子どもが行なった良いことを伝えるようにします。また、「○○が出来るようになりました」と出来たことを電話や連絡帳で日常的に伝え続けることも良いかもしれません。

保護者は、わが子がいじめ被害にあっても、学校で頑張っている様子を伝えてもらえることは嬉しいと思いますし、先生が子どもの頑張りを認め続けていることに安心するでしょう。

卒業するまで見守る姿勢が保護者に伝わることで、保護者との信頼関係ができるものでしょう。教師が保護者との信頼関係を築き、保護者が心理的に安定することで、子どもの順調な回復が期待できるのです。

2014年1月7日 |

 

仲良しグループからのいじめによる不登校への支援

中学生女子です。仲の良かったグループからいじめられたことがきっかけで、不登校になりました。教室復帰を目指しているのですが、精神的な傷つきが大きく、対人不信の状態にあります。
人間関係のトラブルの場合、援助する側と本人との信頼関係の構築が大切です。

人間関係のトラブルに会うと、人に対する信頼感が損なわれやすいものです。それまで信頼していた友人からいじめられたのであればなおさらです。そのような状態になると、援助しようと関わる人に対しても懐疑的になりがちです。

ですから、関わる際には、子どもとの間で信頼関係を構築することを第一にして援助するよう心がけます。

人への信頼感を取り戻すために人との間で安心していられた体験を積ませます。

別室登校等を利用して、安心して過ごせる対人関係をじっくりはぐくむようにします。教室復帰に向けては、例えば、別室で友人と過ごす時間をコーディネートするなど、除々に対人関係が広がっていくよう工夫します。

その際には、無理に教室へ引っ張る働きかけよりも、その時間を楽しみ、友人との間で安心して過ごせる、温かい対人関係を育むことを優先しましょう。

このようなお子さんは、友達と会えるようになっても、一見楽しそうに過ごしているように見えて、不安を抱いている場合も少なくありません。

そのようなときには、友だちが去った後で、「楽しさ最高を100点だとして、今何点だった?」「嫌だとか心配だったが最悪100点だとして、今何点だった?」などと、数値にして、不安な気持ちの程度を尋ねることも一つの方法です。どの程度楽しく、どの程度嫌で、不安なのかは、このようにすると、お互いに確認しやすくなります。

対人関係のなかでの楽しさや気楽でいた程度が高くなり、不安が減ることが重要になります。人の中にいて快適に感じることが増え、不快に感じることが下がれば、それを喜ぶことが、関わりの基本になります。

自信を取り戻す関わりを行います。

また、人に対する信頼感が損なわれた状態が継続すると、「人からどう思われているか心配」という対人不安が強まります。この対人不安から人との関わりを避けていると、自信のなさが増していきます。

したがって、このような状態の子どもを支援するときには、本人が自信をとりもどせるような関わりを継続的に行います。たとえば、子ども自身がそのようなことでは褒められないだろうと思っているようなことや、自分では気がついていないようなことに積極的に目を向け、認め、褒めるようにします。

そのためには、子どもの関わる人が、「あなたが大切」「あなたに会えてて嬉しい」と心から子どもを大事に思っていただくことが、何よりも大切なことになると思います。

2014年1月18日 |

 

格闘技のまねをしているうちに一方的に攻撃されてしまった中学生の男子

格闘技のまねをしているうちに、一方的に攻撃されてしまいました。された方はいじめられたと捉え、いじめ側は遊びのつもりだったと言っています。遊びがエスカレートしてしまったようです。

◆まずはゆっくり本人の話を聴きましょう

客観的に何があったかと追及するよりも先に、まずは、いじめられたことを訴えてきた子どもの話をゆっくりと話を聴くようにします。

最初は同じように遊びだと捉えていたとしましても、辛い目にあったことは確かです。特に、本人が感じている不快感を「嫌だったんだね」「苦しかったね」「悲しかったね」「頭にきたよね」というように受け止めるようにします。

格闘技などがエスカレートしていじめに繋がってしまう場合、攻撃を受けた子どもが我慢し過ぎてしまうこともあります。訴えがあった時には真摯にその辛さを受け止めるようにしましょう。

◆解決に向けてどのようなことができるか一緒に考えます

解決へ向けて、どのようにしていくか、先生にはどのようなことをしてほしいか、その対応をしたら心配なことはあるかなど、具体的なことも一緒に考えるとよいでしょう。

◆いじめた側とされた子どもから話を聞く前に確認すべきことがあります

いじめた側の子どもから話を聞く際には、事前に、いじめを訴えてきた子どもに、いじめた側の子どもから話を聞いてもよいのかどうか、また、「このような話をするよ」と話の内容を伝えることや、話してほしくないことなど、確認するようにしましょう。

先生の動きによって、どのようなことが起こるか、後のことをイメージしながら、一緒に考えるようにします。

 

◆両者の関係づくりを大切にします

遊びがエスカレートしてしまい、一方的に攻撃されてしまったというような場合、両者の捉え方に違いが生じます。まずは、その捉え方の違いを確認することが必要です。いきなり、両者を同席させるようなことはせず、攻撃した側の子どもからも話を聞くようにします。

「いじめるつもりはなかった。」「怖がらせるつもりはなかった」というように、相手を攻撃しているとは思っていなかった子どもの思いや、楽しく遊べなかったことの残念さ、友だちを辛い目に合せてしまったことへの後悔などもゆったりと聴き、「残念な気持ちでいっぱいなんだね」「友だちを辛い目にあわせてしまって辛いね」「残念だったね…」というように、子どもが感じている不快感を言葉で受け止めるようにします。

その上で、遊びのルールやお互いに信頼しあえるためにはどうしたらよいかを一緒に考えるようにすると良いでしょう。

友だち同士は、「自分も良い、友だちも良い」Win-Winの関係を作ることが大切です。一方的な関係になっていないかどうか、日常の学校生活の中で、先生が目配り、心配りをすることが大切でしょう。

いじめられてしまった子どもと、いじめてしまった子どもが、お互いに尊重し合えるようになるためには、その前提として、先生が、一人一人の子どもとの信頼関係を築くことが求められるのです。

2014年1月19日 |