家庭問題

harukoi背景の問題が複雑で深刻さのある家庭環境の事例が、着実に増加しています。この問題は、社会的問題、政治的問題、経済的な問題、文化的変動の問題など、さまざまな要因によって引き起こされていると思われます。

両親の別居や離婚、親の死別、虐待、親の病気や健康状態の悪化、さらに、近年深刻になった経済の貧困格差の問題などを背景として、子どもに適切な養育が施せないなど、家庭環境は、子どもの発達や成長に影響しています。

子どもは、両親の葛藤に敏感に反応します。親の不仲は自分が悪いからと、自分を責めて辛い気持ちを心の奥へ閉じ込めています。周囲には、親に心配かけないように振る舞います。そのことが「ふつう」と見えることがあります。

しかし、この家庭の危機に耐えている子どもは、睡眠不足や食習慣が不規則になるといった生活習慣が崩れがちになります。体調不良や学習に集中できない状況がみられたり、対人関係を築く力が弱くなっています。家庭外へ居場所を求めて、深夜の徘徊や反反社会な行動を行うこともあります。

ここでは、主に学校関係者、幼稚園・保育園など、教育に関わる者が家庭の問題を背負っている子どもに何ができるのかを考えていきたいと思います。そのような中で、保育園、幼稚園や学校に来ている子どもの辛い気持ちに寄り添って、心も体も人間関係も安心して過ごせる関わりを大切にするために必要な支援の方法を考えていきたいと思います。

 イラストは以下からいただいています。 サイト名 ふわふわ。り URL http://shimizumari.com/fuwa2li

家庭問題

家庭が不安定な状況にある場合、学校ができること

harukoi家庭が不安定な状況(家庭内不和・両親が離婚・経済的困難・家族が病気である等)にある場合、学校はどのような支援ができるでしょうか。学校と関係機関との協働連携した子・家族支援を行います。
◆関係機関や関係者と協働連携した支援を行います。

 子どもが家庭内の問題を抱えている時期は、学校が身近で最も安心できる場所といえます。子どもの家庭が不安定な時期こそ、学校は子どもを支える最大のリソースとして重要な役割を担っています

 家庭が不安定な状況にある場合、学校は基本的には家庭の問題は家庭で解決していけるように相談機関を紹介します。しかし最近は、家庭の価値観が多様化して家族の形態も多岐になっています。典型的な例ですが「虐待死の子ども」の場合、保護者が相談機関や社会資源を利用できず孤立傾向にあります。この事例のように、支援が本当に必要な事例ほど、家族が主体的に社会資源を利用できないで問題が深刻化・長期化して悪循環をまねく結果となっています学校は家庭の問題に立ち入る必要はありませんが、保護者が適切な社会資源に繋がって支援を受けているかどうかを把握する必要があります。

そのためにも、学校は、学校外の相談機関や関係機関と顔見知りの関係を築いておきたいと思います。地域の非行防止対策委員会、要保護児童連絡協議会、地域の学校保健委員会など教育委員会や社会福祉協議会、保健所、児童相談所などが主催する研修会や講演会などで、多職種の活動や役割を知って関係づくりをしておくこともよいでしょう。

そのように備えることで、学校で、いざという時に、多職種と協働、連携した支援を行うこと繋がります。学校外の社会資源へアンテナを高くし、連携を伴った支援を意識しておきたいものです。  

◆ 子どもが家族の危機を体験して成長します

 学校が行うことは、第一に子どもを支援することです。家庭事情はいろいろあっても、子どもが日々成長していることを大事にしたいと思います。家庭で辛い思いや寂しい気持ちを体験している子へ、先生が「家庭事情を乗り越えて成長してほしい。将来は辛い体験をしたことで今の自分の幸せや喜びをがあると思えるように育ってほしい」と子どもへの願いをもって全力で支える気持ちが大切になります。

 先生は子どもとの信頼関係の中で、どのような家庭環境で生活しているのか、どのような思いでいるのかを理解して、必要にな場合は保護者面談を行います。学校で、子どもが安心してゆったり過ごせるように子どもの気持ちを聞いて一緒に考えるようにしたいと思います。先生からは「いつでも話をきくよ」「応援しているよ」とあたたかいい言葉かけをしてメッセージを伝えるようにしたいと思います。子どもが得意なことや好きなことを一緒に行って時間を共に過ごすこともよいでしょう。子どもの思いを聞きながら「一人じゃないよ。味方だよ」と応援していきたいと思います。

 子どもは周囲に心配させたくない、心配されたくないという思いから、自分の不安などの不快な感情を周囲に悟られないようにしたり、本当は年齢相応に甘えたいところを無理にがんばっていたりすることもあります。また、家庭の不安定さからくるストレスが大きく、これ以上のストレスは耐えられない、という状況にあることも考えられます。学校での様子をみながら、個別の時間を大事にする関わりが、子どもを安心させることもあります。

◆子どもを支える校内の支援体制をしましょう。

学校では声かけ等を通して、“先生は自分のことを気にかけていてくれる”と感じられるような関わりを意識して行います。

 また、本人に関わる中で、不安や心配、悲しみが語られた場合には、その場で問題の解決策を提示すること以上に、本人の気持ちに寄り添うように話を聞き、不安や心配、悲しみを言葉にして返すようにします。そのことで、本人が心の奥に閉じ込めている不快な感情を言葉で表現できるように手伝います。こうした関わり方が子どもを気持ちで支える上で効果的な方法です。

 家庭では落ち着かない生活が続くと、睡眠不足や生活習慣が崩れてきます。学校ではスクールカウンセラーや心の相談員、養護教諭などで学級担任だけでなく支援する体制が望ましいと思います。そして、家庭問題の内容にもよりますが、子どもの気持ちや保護者の了解を得て校内の支援体制を整えるようにしたいと思います。

地域の特徴を活かした教育・保健・医療・福祉の協働連携の例

 人口約10万人のA地域は、教育と保健と福祉が連携して、不登校児童生徒の支援を継続してきました。10年間で児童生徒の不登校の出現率が4分の1に減少しました。

 その中の多くは、不登校が長期化して、学校でも家庭の事情に踏み込めない複雑な背景がある事例です。9割は単親家族でした。保健師や児童福祉司が家庭訪問して家族と関係をつくり支援を継続してきました。

 ある事例では、家庭訪問しながら母親の育児支援を続け、母親が家の整理整頓ができるようになって、朝炊飯器でご飯を炊けるようになった頃に、子どもが中学の相談室へ登校はじめました。このお子さんは、小学校4年生から登校しぶりで5年生から本格的な不登校となっていました。

 不登校には、学校内の支援体制を整備することで改善される事例があります。長期化する事例は、学校だけの支援では改善されないと考えることができます。長期化する事例の中でも、親が病気や知的な課題をもっていて養育能力が極めて低い場合は、親の育児を助ける支援が必要になってきます。このような事例は潜在的に年々増加している感じがします。

 不登校の支援はケースバイケースで支援方法は多様ですが、家族支援の視点から多職種と協働連携が求められる事例が着実に増加しているように思います。

◆地域と学校で関わった不登校体験者の予後

 家庭が不安定なお子さんたちが、その後の社会生活をどのように過ごしているのかというところは気になるところです。

 このA地区で10年前に関わった事例を紹介しましょう。

 当時小学生だった女子児童は2児の母親になって地域で暮らしています。母親の虐待が疑われた家族でした。

 また、中学生当時不登校と非行で学校へ警察が入るような体験をした男子は、今は父親になって学校の近くに住んで会社勤めの立派な社会人になっています。家庭の状況が不安定な中で育った人が、中学校卒業後も学校の教師や地域の相談機関や関係者との関わりながら地域で生活しています。地域が安心できるところになっているからだからこそのように思います。

 5年前に不登校を経験した親たちは、不登校や発達につまずきのある子どもたちが集まれる場所を立ち上げました。山間部の森林で囲まれた自然豊かな公園の一角で活動を始めてます。公的な機関からのサポートもあり、子どもの居場所として活動を充実させています。地域の実情に合った子ども・家庭を支援する地域の活動が形になってきています

このように、ダイナミックに学校と地域が子どもを包み込み、学校と地域が、家庭を支え、家庭に代わって子どもを育てることができる地域もあるのです。

家族をアセスメントする

 家庭の問題を扱うには、harukoi家族をアセスメントしておかねばなりません。アセスメントとは、ある事象を客観的に評価することです。他職種と関わらなければならない場合には、客観的に共有しておく必要最低限の客観的な評価項目があります。

 家族をアセスメントする項目としては①家族構成 ②家族の健康・生活 ③家族の人間関係 ④家族の問題解決能力 ⑤家族の地域社会との関係5つの視点が考えられます。

具体的な内容を以下にあげます。

 【家族のアセスメントの項目】

 

   家族構成

 

大家族か核家族か、祖父母の有無、両親有無、単親家族、兄弟姉妹の有無、何番目の子か、親の年齢、同居している人

   家族の健康・生活状況

家族の健康状態、家族の病歴、住居環境、経済状態、生活習慣、親の職業

   家族の人間関係

夫婦関係、親子関係、兄弟関係、同居者との関係、家族のコミュニケーション

   家族の問題解決能力

家族成員の職業や地位、家族員の学歴、家族の価値観、家族対人関係の力、社会資源を活用する力

 

   家族の地域社会の関係

親族や地域社会との関係、都会か農村地域か、伝統的な家系化か、家族の習慣、家族が孤立傾向かどうか

 

 今日の子どもをめぐる家族の状況は多様化しています。家族形態、家族構成の変化もさまざまです。単親家族の経済状況の不安さも 深刻です。社会の諸課題が子どもたちに凝縮して表れているように思えます。学校と家庭、地域社会全体で多職種の連携協働を確実に前進させ、子どもが安心し て育つ家庭・地域社会を築いていきたいと思います。

 

 

子どもと家族のライフステージの関係を理解して支援の幅を広げる

 

 

harukoi 家庭を支援していく上で、家族のライフステージを理解した上で、子どもの支援について述べたいと思います。

 家族は家族を構成する一人ひとり(家族成員と称する)が役割を果たしながら家族を構成しています。家族は共同生活しながら家族成員の健康生活を維持増進する役割、健康を崩した家族成員の健康回復を援助する役割、終末期の看取りの役割をしています。

子どもも家族成員の一人として役割を担っています。家族のライフステージから考えると、子どもが家族の危機を救う役割行動をしているという理解の仕方があります。子どもの心身の健康問題や問題行動への支援では、子どもの発達段階と併せて家族のライフステージの関係から捉えると、支援の方法が広がります。

平均的な家族を想定して子どもの成長と家族のライフステージの関係は次のような関係があります。このような家族の関係性を念頭において子ども理解を深め、関係者でよりよい支援を考えたいと思います。

このことに関わる具体的な事例は追々紹介して行きたいと思います。

家族のライフステージの例(夫婦の年齢は2010年統計を参考にして設定しています)

①新しい家族

 

 

②乳幼児期

 

 

 

 

③学童期

 

 

④思春期

 

 

⑤子どもの独立

 

 

⑥老年の夫婦

男性25.6歳、女性24.3で出会い平均交際期間4年間で結婚。

初婚年齢男性30.5歳、女性28.8

第1子が誕生する。夫婦は妊娠・出産・育児に関わり親の役割を学ぶ。

家族が2人から3人に増えて新たな家族の人間関係が生まれる。

幼稚園や保育園の子どもの関係を巡って、教職員や他の家族と対人関係が広がる。この頃第2子が生まれると妻は2人の子育てに追われ物理的、精神的な負担が増す。

第1子が小学校へ入学する。子の心身の成長が著しい時期で、学校生活の不安や悩みが増える。父親は職場で責任ある立場になると、夫婦の葛藤が増す。     

子どもは自我を確立する時期を向かえ、進路や対人関係や学力の問題などの揺れる時期。第2子が大学卒業する時は、夫は職場の管理職に就くと精神的なストレスが増す。

子どもが結婚・就職など家から独立して生活するようになると、夫婦の新しい生活がはじまる。第1子の孫が誕生する頃は夫65歳、妻63歳で嫁姑の関係が生じる。

 

老年期になると夫婦2人、あるいは配偶者が亡くなることもある。加齢に伴う身体機能の低下から病気に罹患する。孫が小学校へ入学する頃は夫71歳、妻69歳で退職後の生きがいを見出していく生活が求められている。

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