不登校

図ふわふわり不登校は、子どもが学校に合わないことで生じるものです。子どもが学校に合わないとは、学校が子どもに合わないと言い換えてもよいでしょう。子どもを学校に合わせるだけではなく、学校を子どもに合わせるようにすることが、不登校を未然に防いでいくための最大の予防策ということになります。 ただ、不登校になってしまった結果、新しい問題が起きやすくなります。新たに問題を深刻化、複雑化させてしまうことも起きるのです。一番、問題になるのは、子ども自身が不登校を悪いことだと考え、「自分はダメだ」と思うようになることです。 問題を深刻化させないために、どうすればよいのか、問題から回復させるときに、何が必要なのか、それを支える大人たちに必要なことを伝えていきます。 イラストは以下からいただいています。 サイト名 ふわふわ。り URL http://shimizumari.com/fuwa2li

不登校

被災地での長期欠席の増加について

図ふわふわり福島、宮城、岩手の2009年度から2012年度までの年間30日以上の欠席を示した児童生徒の出現率の推移を一度に示します。

阪神淡路大震災後、兵庫県の不登校、長期欠席の出現率は激増しました。それと同じ現象が宮城県で見受けられます。

宮城県では、2012年度の中学生の不登校出現率が3.1%と なり、全国で一番高くなり、新聞でも取り上げられました。長期欠席率を見ると、中学生の長期欠席率は、2011年度は下降し、2012年度に急上昇が見られます。これに対して、小学生は、11年度、12年度と微増を続ける形の増加 になっています。

 

宮城県長期欠席推移宮城県は、もともと小中ギャップが大きい県です。その中で、小学生の上昇が2011年度から見られることが気になります。それゆえ、彼らの中学進学に伴って、今後、中学での不登校の上昇には歯止めがかかりにくいことが心配です。

 

福島県長期欠席推移

福島県の場合、震災の起きた2011年度から長期欠席率は上昇を開始しました。福島の教育委員会関係者からは、2013年度は、それを上回る勢いで上昇中であると聞いています。

福島県企画調整部統計課(2013)によれば、小中学生の不登校出現率が全国平均よりも低いものの、0.97%(全国平均1.09%)で、不登校も過去5年間で最も高い出現率になっています。中でも、中学生の上昇が著しく、長期欠席出現率は3.19%(不登校;2.34%)であり、震災前年の2010年度の2.76%(不登校;2.17%)から見れば、0.43%(不登校;0.17%)分上昇したことになります。 ちなみに、福島県で一番上昇しているのは中学生の「病気による欠席」であり、0.68%で、2010年度の0.47%よりも0.21%も上昇し、全国平均の0.52%を上回っています。

この「病気による欠席」が増えていることが、福島県では気にかかります。ご存知の方は少ないですが、全国の長期欠席の出現率のトップは大阪府で、他に比べてずっと高いまま推移しています。そして、その大阪は「病気による欠席」が全国の断然トップです。大阪の中学生は、データ上、全国平均の2倍近く欠席をしています。教員が欠席の理由を「不登校」ではなく、「病気による欠席」と理解している場合ほど、その後、長期欠席が多くなる傾向があるのです。

ですから、「病気による欠席」が増加中の福島県も気になります。以前から福島県は「病欠」を多くカウントする傾向が強かったのですが、その傾向が減少して、順調に長期欠席の出現率を低下させてきました。ところが、災害以降、「病欠」に多く分類する傾向が復活しました。

このように、宮城県も福島県も今後、注意をしていかなければなりません。

岩手県長期欠席推移ところが、岩手県は、もともと長期欠席が少ない県です。そして、震災以降もさらに長期欠席が下降し、小中学校は共に全国でも最低の出現率になっています。

これは中越地震後の山腰、長岡地区にも見られた現象です。災害があったからといって、必ずしも、子どもの欠席がその後、増加するわけではありません。長岡市の不登校も災害後にむしろ減少し、今でも、新潟県の中でも少ない出現率のまま推移しています。

岩手と宮城は被災状況が似ています。けれども、両者の一体何が違っているのかについて、今後精査していく必要があると考えています。

欠席しがちな学業不適応から無気力になっている中学生

中学生です。定期的に欠席し図ふわふわります。学業不適応感を感じており、それによって無気力に陥っているように思います。どのように関わればよいでしょうか。

 

◆意欲を出させようとして激励することには効果がありません。

無気力な子どもに対して、頑張らせようと、一喝したり激励したりすることは効果がありません。無気力の背景には、劣等感と憂鬱な気持ちがあります。これらは激励によって変えられませんし、それでうまくいかない場合には逆効果になります。意欲が出ないばかりか、激励に応えられない自分に気付くので、「自分はだめだ」との劣等感がより高まり、さらに無気力が高まるからなのです。

◆今できることに目を向け、やる気を引き出すようにします。

例えば、本人が今現在すでにできていることをさりげなくチェックし、それを指示として本人が気づかれていないように伝え、後でそれができていることを大いに評価し、褒めるという方法もあります。たとえば、このようにします。「今、何時に寝ているの?・・・11時には布団に入る?・・・ふーん。いいね、それを続けてね・・・それでー」と会話の中で、気づかれないように指示を入れ込みます。次に会った時に、「昨日は何時に布団に入った?11時?そぉ、嬉しいなぁ。この前、それ続けるようにって言ったんだけど、それできているんだー、すごいねー」という具合です。

また、たとえ行動として表れていなくても、「気持ちの上でがんばっている」と、取り組む姿勢がわずかでも見えた時に、その後、それに取り組まなくても、その気持ちを認める関わりを根気強く行っていきます。たとえば、「さっき、やってみようとして、鉛筆持って考えていたね。がんばろうと思っているんだよねー君は」と、気持ちが向いたことを評価するのです。

また、目標のステップを小刻みにし、1ステップごとに、できたことを振り返り、評価し、共に喜びます、そのことで、「できるようになったこと」に目を向けさせ、意欲を取り戻させ、その努力を継続していけるよう関わります。

◆学業不適応感は、自分が望む目標に達していないなどにより感じるものです

 学業不適応感は、自分が望む目標に達していないなどにより感じるものです。成績の善し悪しに関わらず感じうるものです。傍の目では、できているのに、「自分はできない」と劣等感を強く抱いていることもあります。

ひきこもりの青年に関する調査によれば、学生時代に学業不適応を抱いていた者の割合は、一般の青年よりも、はるかに高いものでした。しかし、実際に彼らの学歴や学生時代の成績を調べると、大学卒業など、客観的な成績とは関係なく、学業がうまくいかなかったとの思いを強く抱いています。

このように、学業不適応感を抱いている場合ほど、「自分はダメだ」とか、「自分は役に立たない」などという気持ちを抱いているようなのです。このようなお子さんには、「あなたはあなたのままで良い」「あなたがいてくれると助かる」などと感じられる瞬間を数多く与えたいものです。

このようなお子さんに、学校のちょっとした用事をお願いし、先生が「ありがとう」と言える機会を増やすこと、「君はクラスの大事な一員だよ」「君がいてくれると助かる」といえるような機会を与えることが、支援の原則になると思います。

教師向け専門家コメントの例(4):自己中心的な不登校の中学1年女子

中学1年女子 不登校8d2f855f569997fca53fe923a732c848-e1393217840469・自己中心的 

この一文は、不登校対策で専門家として、紙上コンサルテーションのコメントを教師向けたものです。地域の不登校対策では、このようなコメントを最盛期には年に数百書いていました。 *個人情報部分をそぎ落とし、一部、内容を改変しています。シートからは、先生の記載が不足し、回答を書きにくいこともあります。そのような場合の回答です。 ☆ 理 解 ☆  昨年度の欠席については、記載がありませんが、今年度は、2学期の途中で45日欠席(1学期18日、2学期27日)、8日の遅刻・早退の見られたお子さんですね。  欠席が見られた理由やきっかけとして、学業上の不振、友人との関係の問題にチェックがあります。「学習への現在の意欲」についてはチェックがありません。  本人の行動や様子では、「自己中心性がある」「ストレスに逃避的である」「幼稚さがある」「過度の依存や甘えがある」にチェックがあります。「人の気持ちを理解するのが苦手」にチェックがありますが、発達障害関連の項目にチェックがありません。ですので、アスペルガー様の他者の気持ちの理解のできなさではないと理解しましたが、それでよろしいでしょうか?  学校生活での様子としては、「登校したときは、クラスメイトと談笑したりと普通に過ごすことができる」のですね。好きな科目は「保健体育」で、苦手な教科は、「数学」「英語」なのですね。学校で好きな活動には、記載がありません。学校での苦手な活動には「特になし」とあります。興味を持っていることは、「動物が好き」とあります。  担任の先生は、「欠席が続いた時は、家庭訪問を行うなどコンタクトを取っていた。母親とは連携を取りながら、話しながら対応していた」とあります。また 今後の工夫や配慮・支援として、「今まで面倒を見ていた子が、疲れてしまい距離を置くようになってきた。しかし、クラスメイトの中では話をしたり、一緒に活動する生徒はいる。今後本人がこの現状をどうとらえるか、自分でも変わらないといけないと少し考え方を変えるきっかけになってくれればと思う」とあります。 ☆ 支 援 ☆  欠席が継続した場合に、先生は家庭訪問を行うなどで、お子さんの様子を確かめに行かれているのですね。学業面では、英語と数学とのことですが、英語は中学1年の早い段階で、躓いてしまったのかも知れません。  おそらく、お急ぎになって、本シートを作成されたのではないかと思います。担任の先生以外の先生方も、このお子さんに関わりをなさってきたであろうと存じますが、記載がされていませんでした。小学校では、なかなか情報共有が難しいのですが、中学では、学年で話し合われ、学年団での関わりと共有なさってきたのではないかと思います。本シートの担任以外の記入欄は、そのような情報をまとめるために作成しておりますので、次回、このシートをご利用いただくときには、シートそのものを仕上げることが、学校内での情報の共有と共通理解のための道具として、ご活用いただけるのではないかと思います。あわせて、本シートのコメントも複数の関係する先生方でお読みいただけることを願っております  と、申しますのも、これまでの数百例を超える先生方へのコンサルテーションの成果として、お子さんに身近に関わることができる教職員が多ければ多いほど、そして、その教職員がチームで支援するようになっていることが、その後の不登校の改善に効果的であることが、明らかになっております。担任の先生だけでなく、養護の先生や専科の先生のように、関わりの深い先生方などの、数多くの先生が関わっていられるのではないかと思います。  とくにこのお子さんの場合、「自己中心性がある」「ストレスに逃避的である」「幼稚さがある」「過度の依存や甘えがある」にチェックがあります。これらは、端的に言えば、我慢する力、頑張る力が十分に育っていないということがあるのでしょうか。我慢の力は、遠い目標に対して、したいことをあえて行わないことに関連します。我慢の力は、我慢した甲斐があったと、どれだけ認められ、褒められた体験があったかに左右されます。  また、この力は、遠い目標に対して、したくないことをあえて行う頑張ることも関連します。この力は、どれだけうまくいった体験を持ったのか、とくに、過去の自分に比べて、伸びたところを認められ、共に喜んでもらえた体験をどれだけ多く味わったのかによって、この面の育ちが違ってまいります。残念ながら、このお子さんの場合、これらの体験が少なかったのではないでしょうか?これは自信のなさに強く関連しますし、さまざまな場面での不安の強さとも関連しているのだと思います。  ですので、このお子さんにとっては、まずは、多くの先生から我慢を認められる言葉、励ます言葉、努力、頑張りを評価する言葉がどれだけ多くかけられるのかが、問題の改善には一番重要なことになると思われます。それだけに、学年全体で、さまざまな温かい言葉がお子さんに、今以上にかけられることが、今後を大きく分けることになるのではないかと思われるのです。  具体的に言えば、中学生の標準から見れば、ずっと水準が低いことであっても、お子さんの改善に繋がるところは、認め、褒めるように繰り返すことがとくに必要なお子さんなのでしょう。極端に言えば、このお子さんと学校で顔を合わせた時に、「会えて嬉しいな」「顔を見てほっとしたよ」などの肯定的な声掛けを学年の先生が意識して一言余分に行うだけでも、お子さん自身の登校を変化させることに繋がるでしょう。また、授業に出たときに、このお子さん自身がどこかで伸びたところを見出して、その伸びを喜ぶことなども意味ある関わりではないかと思います。  さらに、つらい状況から逃れることしかできないような場合には、まずは、その不安や怖さ、できないという思いからくる辛さなどを、まずは、言葉にして代弁されることも、重要なことであるように思います。これは、不快な感情を言葉で表現するということですが、「嫌だって感じてるんだ」「心配なんだね」「困ったんだ」などと、お子さんの気持ちを代弁されるようにしてください。「したいけど、できないって感じかな?」「やる気がしないのかな?」などと、お子さんの気持ちを語るのも良いと思います。このとき、実際に行動を許容する必要はありません。感情面を受けながらも、行動面では、「さて、どうすればよいのかな?」「どうしたいのかな?」と本人に尋ねながら、「それでも、少しやってみようか」「それはしないでおこうね」などと、説得するのは構いません。 しかしながら、その前に、その気持ちをしっかりと言葉で表現できるようにお手伝いいただければと思います。この表現が適切にできないので、わがままに見える行動を実力行使してしまう場合がありますし、他者の気持ちを分かるためには、自身の気持ちを的確に語れるようになることが第一歩であるはずです。このことなしに、「自身を振り返らせる」ことは難しいのではないかと思います。  このようなことは、他の生徒さんにお願いできるようなものではありませんし、お願いをしてはいけないことではないかと思います。また、他のお子さんが「面倒を見る」との記載がありましたが、この意味が具体的にはどのようなことを指すのかは分かりかねますが、能力的に面倒を見る必要があるようなお子さんであるとの意味でないのだとすれば、片方が片方の面倒を見る形は、このお子さんにとっても、いつまでも「弱くてできないあなた」とのメッセージを与えることになります。その意味では、生徒さん同士の立場は対等になるようにしていただく方がよろしいように思いました。  もちろん、心の支えになりたいとの申し出が他の生徒さんからあった場合には、どのように支えることが、このお子さんに望ましいことであるのかという点について丁寧に話し合いを持たれて、その申し出や温かい気持ちを生かしていただくことは、大切にしたいことでもあります。  また、先生方が、このお子さん自身が興味のあるところで、話題が共有できるようでしたら、休み時間などに、たとえば動物のことなどについて、お話をすることや、保健体育では、係などをお願いすることや、ちょっとした作業を依頼して、「ありがとう」「君がいて助かるよ」などと教師から言ってもらえることなど、自己有用感(自分が役に立っている)を育てる必要のあるお子さんではないかと思いますし、それを教師が主導で行うことは大事にしたい関わりであると思います。  また、すでになさっているのはないかと思いますが、欠席に関しては、必ず、その日のうちに、お子さんと連絡を取り、お子さんの声を聴くようにされていると思います。月に3日の欠席があれば、それが連続3日でなくても、家庭訪問をして、お子さんと会い、学校での楽しい話題を話すこと、「顔を見ないと寂しいよ」と伝えるなど、わがクラスの大事な生徒さんのお一人として、「あなたは大事」「あなたは大切」という感覚が伝わるように温かく関わっていただければと願っています。  そして、このお子さんの場合には、学校に来ている日の方が多いわけですので、学校でいかに居心地の良い時間を過ごせるのかが大事なことのように思われます。学校内での人間関係では、仲間をお子さんが避けているようなことはないようですが、担任の先生が記載されているところでは、周囲の友人が「疲れてしまう」ようなことがあるのでしょうか。「人の気持ちを理解するのが苦手」ということと関連するのかも知れません。  少なくとも、チェック項目を見る限り、感情のコントロール面での不調はありませんので、友人を泣いたり、怒ったりして振り回すようでもないようですね。能力的な問題で場面の推測が悪いようなことがあるのかも知れませんが、シートからは、欠席のきっかけに「学業面の問題」にチェックがあるものの、全体として学業不適応などの記載がなく、判然といたしません。  ただ、能力的な問題が仮にあったとしても、仲間が負担に感じるような関わりを求めるのは、それまでの生育歴の中で、「あなたは大事」「あなたは大切」「あなたはあなたで良い」と言われた体験、存在そのものを大切にされた体験が少なかったのではないかと思います。  その意味で、繰り返しになりますが、欠席や学業面での支援の中で、教師の側がどれだけ、このお子さんに寄り添うのかが、このお子さんの今後の適応を左右する重要な関わりであると思います。  お忙しいところ恐縮ですが、このお子さんを支えるためにさまざまなご支援を賜りますようよろしくお願い申しあげます。

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