PTSDの子どもを支援する 各症状にどう関わるか(7)「憂うつ・無気力」の場合

PTSDの子どもを支援する 各症状にどう関わるか(7)「憂うつ・無気力」の場合

2011年11月20日 22:58

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阪神・淡路大震災のときに、子どもたちの示した症状の時間による変化では、次のことが分かっています。

「時間の経過からすると、身体症状や恐怖・不安反応の多くは、時間の経過に伴って早めに減少を始めます。ただ、遅れて増えていく反応があります。それが、抑うつ・無気力反応です」

◆抑うつ・無気力反応とは・・・憂うつ・記憶低下・興味消失・話したくない・孤独感・罪悪感を抱く
ということです。

このことへの関わりが実は難しいということも、今のうちから理解しておく必要があると思います。
大人が悩まされるのも、これからは、この症状です。そして、子どももそうです。

一番、教師に分かりやすいのは、「勉強しなくなった」です。

も ちろん、「解離」の症状があれば、記憶力の低下などの問題も起きやすいので、勉強はできなくなります。恐怖や不安、身体症状や怒りなどの不快な感情も、総 じて勉強への集中力を低下させます。学力成績の低下ではありません。「勉強ができなくなった」「成績が下がっ た」ということよりも、勉強への意欲の低下です。

以前ご紹介の「トラウマを受けた子どもの行動チェックリスト」というものがあります。そこでは、以下の項目が相当します。他のストレス反応とも重複しますが、ご参考までに以下に示します。

□特定の出来事について考えたり、話したくないという
□特定の出来事を思い出させるような場所や人や物、あるいは活動を避けることがある
□過去にあったいやな出来事を思い出したくないようである
□特定の出来事を思い出させるような場所や人や物、あるいは活動に興味を持ちにくい
□「わかってくれない」と言うことがある
□感情表現が少ない
□将来についての夢がない
□集中力がない
□特定の出来事を自分のせいで起こったと感じていたり、そのことについて自分を責めるようなことがある。

冒頭で、憂うつ・無気力反応については、関わりが実は難しいということも、今のうちから理解しておく必要があると思います」と述べました。加えて言えば、よほど注意を払わないと、学業面からの意欲の低下以外に、「見出しにくい」症状でもあります。

なぜなら、上記のチェック項目をよく見てください。本人に確認しないと分からないことばかりです。

「思い出したくない」「話たくない」とは尋ねなければ分かりません。本当に「わかってくれない」と思ったら、何も言いませんし、「わかってくれない」とは言いません。将来についての夢も、尋ねなければ分かりません。

「僕 のせいだ」と罪悪感を持っていたとしたら、それを言える相手は、よほどの信頼関係がなければ言えないのです。「感情表現が少ない」とは、表情に変化が少な いことです。人は他人の表情の変化に反応しますので、変化がないことは、見えないのです。以前よりも感情表現が少なくなったというのであれば、教師や保護 者は気づきます。でも、もともと「まじめ」で「おとなしい」としたらどうでしょうか。変化に気づかれにくいのです。

学校でも家庭でも気づかれず、したがって、適切に関わってもらえないのが、これらの症状なのです。

ところで、大人のうつ病では、「がんばれ」と、叱咤激励をしてはいけないことは、ご存じの方も多いのです。でも、この憂うつ・無気力も、子どものうつ病に近い症状であるとしたらどうでしょうか。

「がんばれ」「しっかりしろ」「元気を出して」との声かけが、このような様子のお子さんに、いかに危ういことなのか、このことは覚えておいてください。

「がんばれ」とは、「おまえは頑張っていない」
「しっかりしろ」とは、「おまえはしっかりしていない」
「元気を出して」とは、「元気でないとダメだぞ」
というように、このような状態のお子さんの心には響くのですから。では、どのように働きかければ良いでしょうか?

1.基本的な構え・・本人が望む遊びなどの活動を一緒に行う

無気力にせよ、憂うつにせよ、「自分はダメだ」と思う気持ちが基本にあります。
また、全体として、活動性が落ちています。
全ての感情にブレーキをかけ続けた結果、憂うつという感情が起きてくると筆者は考えています。

「本人が望む活動」を一緒に行うことが意味するのは、
あなたが好むものは、私も好む・・・ということです。

それは、「あなたがあなたでいて良い」ということです。

一緒に行うものは、お絵かきでも、折り紙でも、カードゲームでも、テレビゲームでも良いのです。理想を言えば、卓球などの身体活動を伴う運動の方が良いのですが、あくまでも子どもの興味・関心の部分で寄り添うのが基本になります。

卓球のような身体活動の何が良いのかと言えば、瞬間的な動作を伴うものであること、その都度、上手くいった、失敗したの結果が出やすく、感情を表出しやすいことの2点があります。そこで、表れた表情、「失敗した」「やった」「くやしい」「嫌だ」「嬉しい」を、一緒に喜ぶ、悔しがる、残念がるなどのことを行うことは、抑えられた感情の表現を促すことになります。憂うつな状態から脱出させるために、これらの関わりは、とくに重要なことになります。

 

2.無気力になっていると感じた場面で行うこと

それまで、基本的にまじめなお子さんである場合は、とくにですが、やる気を失っている場合は、「がんばれ」という代わりに、たとえば、次のように声をかけます。

「困っているのかな?」
「どうして良いのか分からないかな?」

基本的に、まじめなお子さんには、次のように声をかけるようにします。

「がんばっているのを知っているよ」
(基本的に、そう言う理由を述べます。
「これまでいっつも○○をして、頑張って来たものね」「いっつも○○したいと思っているんだものね」 

無理はしなくて良いからね

こ のように声をかけるには、お子さん自身が、気持ちの上で頑張っていることを支援者が熟知していなければなりません。また、そのように熟知していることを、 お子さんも知っていないといけないことになります。そのためにも、活動を一緒に行うことで、より良い関係を十分に築いておかねばならないでしょう。

また、ふまじめに見えるお子さんでも、この関係が十分に結ぶことができていれば、この言葉は、実に、お子さんのやる気を下支えするのですが・・・。関係が結ぶことができていない段階では、逆に作用するかも知れません。

なお、大人や思春期以降の抑うつ・無気力、とくに悲嘆反応に伴う抑うつ・無気力への関わりは、以下のURLの記事も参考になさってください。

❖「無気力である・自責の念がある・恥ずかしく感じている・まわりにどう思われているか気にする」 http://www.genpuro.com/?p=956

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world’s childrenより

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