PTSDの子どもを支援する 各症状にどう関わるか(5)「身体症状」の場合

PTSDの子どもを支援する 各症状にどう関わるか(5)「身体症状」の場合

2011年10月29日 1:22

 被災直後数ヶ月以内に起きる症状はPTSDと呼びません。それ以降に症状が示される場合のことをPTSDと呼びます。今後のために記事を作成しています。
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ストレスが身体のさまざまな不調を生み出すことは、良く知られています。頭痛、腹痛、下痢、便秘、肩こり、血圧の変化、朝の不調、発熱、睡眠の問題(眠れない、起きられない、早く目覚める)などなど、実にさまざまです。

災害の場合では、早い段階に症状が起きやすく、事態が落ち着いてくるにつれて、比較的減少していきやすいものです。

でも、その症状が、いつまでも続いていたり、しだいに不調を訴える場合が増えている場合が問題になります。

もちろん、身体の問題ですから、内科医、小児科医など、お医者さんの診断を仰ぐ必要があるのは言うまでもありません。各種検査でも、とくに問題がないのに、身体の症状が改善しないなどの場合に、ストレスによるものと考えます。

1.基本的な構え・・温かく優しく接する(目で触れる・手で触れる・言葉で触れる)

お医者さんから「異常がない」という場合でも、本当に調子が悪いのです。
ご自分が身体が調子が悪いときに、どうされたいでしょうか?

気にかけてほしいし、横になっているときに顔色をみてほしいし、熱は大丈夫かと額に手を当ててほしいし、痛いところをさすってほしいし、優しく心に触れる言葉をかけてほしいのではないでしょうか?

ただし、このときに、「心配し過ぎない」ようにします。「何か大変なことがあるのではないか」「辛いことがあるのではないか」と、関わる側が不安を高めないようにします。原因を探ろうとして、「辛いことがないか?」「嫌なことがあったんだろう?」などと、理由を追究し過ぎないようにします。

ストレスからくる身体の症状は、不快感をうまく言葉で表現できない場合に出てくるからなのです。

不快な感情を外に出さない場合ほど、それを周囲が適切に受け止められない場合ほど、また、その理由を愚痴を言うなどして語れない場合ほど、脳内で発射するように命じるストレスホルモンは多くなります。

「理由を語ってもしょうがい」とか、「その事情が複雑で語る気がしない」とか、「誰かに分かってもらえると思えない」場合や、「語るだけの語彙がない」場合ほど、身体症状になりやすいのです。

大事なことは、身体の症状の「痛み」「だるさ」「疲れ」などを言葉にして関わることです。

「痛みが残っている感じ?・・・それは嫌だよねー」
「だるいんだ・・・大変だねー」
「疲れている・・・身体のどこが一番?・・・そっかぁ・・しんどいかな?」
そのときに、関わる側が、顔をしかめて、嫌さや大変さやしんどさを表情で表現します。

2.身体症状があるときは、しっかり休ませる

しっかり休ませるというのは、布団に入らせ、活動をさせないことを意味します。
動作法の心得のある人は、足のアキレス腱や足の裏に施術すると、10分もしないうちに、眠ってしまいます。
まずは、身体に触れ、安心させる指使いとテンポを整えて行けば睡眠に入ります。

睡眠をとらせることが、子どもの身体症状では、重要な関わりになります。

本人の自覚として、元気になり、退屈そうにしている場合は、布団から出ることは許可して良いでしょう。ただし、学校を休んでいる場合で、まだ授業中であれば、登校を勧めるか、勉強をするように勧めます。

勉強をする元気がないようであれば、布団の中で身体を横たえて、しっかり休むように勧めます。

 

3.元気になったら(普段気をつけること)・・・本人が得意なことで一緒に遊ぶ

総じて、ストレスで身体に症状が出てくる場合では、学校や普段の生活での人間関係や、生活が忙しすぎる場合なども関連しますので、お子さんが辛く感じている 状況があれば、周囲の大人が、お子さんの生活全般を見直す必要があると思います。辛い状況を探し、緩和することを考えます。学校にお願いし、学校での仲間 関係の調整をお願いしても良いでしょう(この場合は、本人にそのようにすると伝えた上で行うのが原則です)。

しかし、それ以上に大事なことがあります。一緒に遊ぶことです。

外遊びがお勧めですが、家庭でしたら、トランプなどのカードゲームでも良いでしょう。テレビゲームを一人でさせるのではなく、一緒にするようにします。一緒にできないときには、ときどき画面を覗き込むなどします。とにかく、一緒に楽しめる時間を過ごすのです。ゲームの関わりで難しいのは技量差があるときでしょう。本人が得意とする遊びで、大人が必死になってやっても負けてしまうようなもので、負けて悔しがるようなものや、偶然性の高いゲームが良いでしょう。

遊びは、重要なストレス発散の手段です。それだけでなく、複数の人間で行う遊びは、勝った、負けた・・・などの瞬間瞬間に、快不快の感情が表情に出やすいものです。

「うわ、失敗、やられた。残念」「くやしいなー」「やったね」「嬉しいねぇ」などなど、感情が表面に出やすいものです。共に喜び、共に悲しむ機会を数多く持つようにします。

身体の症状に出やすいお子さんは、不快感だけではなく、快適な感情でさえ抑えがちです。あるいは、オーバーに興奮し過ぎたりします。感情の表現の仕方は、周囲の人の表現の仕方の影響を受けやすいものです。ですから、大人しいお子さんと遊ぶときには、大人が意識して自分の感想を語るようにします興奮しがちなお子さんとでは、どの程度が適当なのかを考えながら、やはり、大人の方がオーバーにならないようにしながら、自分の感想を語るようにしていきます。

複数の人間で行う遊びを通して、感情の表現を豊かにしていくことで、身体の症状が出にくくなっていくはずです。

l1200665-1280x957みどりの東北元気キャンプFINAL 2016年8月 撮影:小林正幸

PTSDの子どもを支援する 各症状にどう関わるか(5)「身体症状」の場合」への2件のフィードバック

  1. ピンバック: PTSDの子どもを支援する 各症状にどう関わるか(8)「学校を嫌がる-初期の場合」 | 元気プログラム作成委員会

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