PTSDの子どもを支援する 各症状にどう関わるか(1)「怒りっぽい」「反抗的」な場合

PTSDの子どもを支援する 各症状にどう関わるか(1)「怒りっぽい」「反抗的」な場合

2011年10月16日 18:41

この記事は、東日本大震災発生半年後の2011年の秋に、PTSD症状を意識して書き始めたものです。外傷的な体験に出会ってから、数ヶ月程度経過して生じてくるのがPTSD症状です。初期段階に行うことと少し異なっています。過去にいじめられ体験や虐待体験のある子どもへの関わりとして役立つであろうと思います。

今回からは、お子さんが示す外傷的な体験に関わる心理的な症状別に、どのように関わったら良いのかについて、お話をしていきたいと思います。

症状が違っても必要な関わりというものがあります。たとえば、関わる側が安定した心持ちでいられること不快な感情を言葉で表現することは、ストレスがかかっているお子さんでも、非行などを示す反社会的なお子さんでも、おとなしい非社会的なお子さんでも、発達障害などで、ストレスを抱えやすいお子さんにも、必要な関わりです。これらのことは、最後にまとめて触れますが、各回でも強調することになります。

◆お子さんが「怒りっぽくなった」「反抗的になった」場合◆

(この項目は、以下を参考になさってください。「PTSDの子どもを支援する2 トラウマを負った子どもたちが示す症状(2)怒りっぽくなった子https://www.facebook.com/note.php?note_id=160763384004759

まずは、震災以前に比べて 、イライラや怒りが高まっているお子さん、より活発になっているお子さん、ADHDかのようにより多動になってしまっているお子さんへの関わり方を述べることにします。

 

1.基本的な構え・・穏やかに、積極的に関わる

子どもの怒りに釣られて、穏やかに接する(安易に怒らない)こと、他方で、関わりを積極的に行う(好きになる・避けない)ことが、基本的な構えになります。
基本的に活発なお子さんですので、お子さんはさまざまな活動に取り組むかも知れません。お子さんの行動が適切なものであるときには、意識的にお子さんの様子を目で認め、「それで良い」という視線を送るようにします。
不適切な行動や危険な行動は、躊躇せずに規制して良いのですが、お子さんがその行動をストップさせたら、それを承認するようにします。

お子さんに触ることが許される関係であるなら、手のひら全体で、肩や背中に触るようにします。これは、落ち着いて活動に取り組んでいるときに、「それで良いから」と、皮膚接触で伝えて行く方法です。この触り方は、「とけあい動作法」の手法ですが、10分ほどで簡単に覚えられる方法です。これは、怒りが収まったときや、活発に動くことが収まったときにも使うことができます。

2.怒りを示した時に行うこと

(1)怒りを始め、お子さんの抱えている不快な感情を言葉にする。

以前に触れたように、このお子さんたちは、 恐さや辛さや苦しさをたくさん抱えているのです。そして、恐がる弱い自分を周囲に見せてはいけないと感じている姿と思えます。また、それを自分の力で乗り越えようとしている姿であるかもしれません。そのように、立ち止って考えるようになさっていただきたいと思います。

怒っているお子さんの場合、関わる者が、怒りの感情を言葉にするのは簡単です。
「イライラしているんだね」「腹が立っちゃったんだ」と言葉にします。そのときに、それ以外の感情を探りながら、お子さんに関わるようにします。「嫌だ」という感情もあるかも知れません。

活動性が高まり過ぎている場合では、「焦っちゃうんだ」「緊張しているように見えるよ」との言葉かけが適切な場合もあります。ADHDなど、多動なお子さんは、強い緊張があるものです。そのような場合は、このような声をゆったりとかけるのが良いかも知れません。

目に涙が浮かんでいるような場合は、「くやしんだ」「悲しくなっちゃうね」などの言葉が適切かも知れません。

お子さんの過去の傷つきの理由が分かっているのであれば、「さみしい・・・かな?」とか、「心配になってしまったね」などの言葉が的確である場合もあります。

 

(2)怒りの背後にある願いを言葉にする。

怒りに限りませんが、不快な感情の背後には、多くの場合、願いが背後にあります。図は不安の場合ですが、不快な感情の後ろには、必ず、願いがあるのです。

怒りでは、「○○してほしい」「○○してほしくない」「○○のままであってほしくない」「○○のままであってほしい」との願いがあります。

それを本人に語らせるようにするのではありません。その見当がつくのなら、お子さんに代弁して良いのです。これを繰り返して関わってもらえなかったので、イライラや怒りや妙に元気に見せるとで、やり過ごすことが癖になってしまっているからです。

自分の願いを適切に語れること、冷静にそれを語ることが許されることが、このようなお子さんに必要なのです。

 

3.冷静になってから行うこと

(1)気持ちを落ち着けたときに、それを喜ぶ

怒りが収まったら、気持ちを収めたことを、「よかったぁ・・気持ちが楽になったね」と、そのことを喜びます。
冷静に自分の要求を言葉にし、他者との妥協点を探ることが、怒りの感情を上手に扱うことです。そのための前提として、怒りに支配されないようになることが、重要なことになります。

(2)その願いがあることを認めるが、願いの可否は一緒に判断する

感情を言葉にして受け止めること、その願いを分かることと、その願いを叶えるように手伝うこととは別物です。危険なこと、ルールに反することは、許容する必 要はまったくありません。ただし、なぜ、それが難しいのかについて、本人がどのようにその理由を考えているのかを話し合い、なぜ、その願いがかなえられないのかについて、一緒に判断していくようにします。

他者との関係で怒っている場合には、相手へ何を願っているのかを明確にし、「その願いを実現するために、自分は何をすれば良いのか」を一緒に考えます。

こちらがしっかりとして持たねばならないのは、怒りにせよ、どのような否定的な感情も、それが悪いものではないとの大人の余裕ということになります。

★怒りを示すお子さんへのマイナスの関わり★

ですから、このようなお子さんには以下の関わりは行っていけない関わりになります。このことは、以前に述べたことですが、大事なことですので、再掲します。

大人が注意や叱責で、怒りを抑え込もうとしたり、「おとなしくしていなさい」「静かにしなさい」と行動面にアプローチをするのは逆効果です。そうすればするほど、このようなお子さんは、かえって、怒ることが増え、大人に反抗するようになり、活発になっていってしまいます。
また、「活発だからいいね」「元気に遊んでいるから大丈夫」と安心していてはいけません。そのまま気が付かずに放っておいていかれてしまいます。
これも問題です。

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みどりの東北元気キャンプFINAL 2016年8月 撮影 小林正幸

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