「思春期以降のお子さんに先生ができること」(1):無気力である・自責の念がある・恥ずかしく感じている・まわりにどう思われているか気にする

「思春期以降のお子さんに先生ができること」(1):無気力である・自責の念がある・恥ずかしく感じている・まわりにどう思われているか気にする

【状態】
▼学校の先生方のお子さんの行動を見る力は、素晴らしいものがあります。行動面では「無気力」で「やる気がない」ように見えるお子さんたちのことです。これが示す行動は、取り組む気力が萎えることや、学校の中であまり話さないお子さんのことです。友人と遊ぶこともしません。覇気が感じられないのです。

▼一方、「恥ずかしいと感じている」お子さんや、「まわりにどう思われているか気にする」お子さんの多くは、おとなしく、目立たないお子さんです。周囲の 目を気にすることは、思春期以降に一般に強くなる傾向があります。自意識がしっかりしてきているからです。しかし、お子さん自身が打ち明けない限り、学校 では把握が一番難しいお子さんです。しかし、周囲の受けを狙って、いつもニコニコしていたり、冗談を言っている場合もあります。学級で仲間が価値を置くこ とへの影響が受けやすく、親しい仲間の色に染まりやすいお子さんもいます。それだけに分かりにくいでしょう。

▼これらのお子さんは、行動への表れが目だちません。注意を払わないと、学校の先生には見えにくいお子さんたちです。とくに、集団でお子さんとお付き合いをしている場合は、集団の中に埋もれてしまいます。

【理解】
▼これらのお子さんたちに共通なのは、感情を抑える傾向が強い点です。そして、自分への自信を失っています。

▼また、「無気力」なお子さんの気分は憂鬱で、生き生きと活動する元気を失ってしまっています。自己嫌悪し、自分を恥ずべき者のように感じているかも知れません。

▼周りの目を気にするお子さんは、「不安」や「緊張」が高いのです。心で抱えている辛さは、決して軽いものではありません。

【関わり】
<全体での関わりの中で>
▼「気力がない」と考えて、叱咤激励をしたり、叱責したりすることは厳に慎みます。

▼悩みを口にできる機会を与えてください。簡単な自由記述のアンケートをしても良いでしょう。
そこで、「私が今、困っていること」をたくさん書いてもらう方法もあります。
素直なお子さんばかりの集団であれば、正直に書いてもらえるでしょう。そのような集団であれば、「小学生に先生ができること」★2:自分を責めるでお示しをした方法を行うのも一つです。

▼安心できる雰囲気の中で、本人が好む活動や得意な活動を一緒に行うことや、その活動について話し合うようにします。

▼好みの活動であるのに、笑顔になっても、すぐにふいと表情が変化したときに、その表情の変化を言葉にします。
「嫌そうな顔したね」「悲しいかな?」「寂しそうな顔したけど」「怒った感じがあるかな?」「辛そうな顔したね」などです。

▼感謝の言葉がかけやすいように、教師が頼みごとを多くするなどして、感謝の気持ちを普段から表現するようにします。

本人の気遣いや、他の人への配慮について、褒めるのではなく、感謝の意を伝えます。
「君のおかげで・・・できたよ。優しいね。ありがとう」
「気がつくね。助かるな」

<個別の関わりの中で>
個別にじっくり話を聴く機会を設けます。

無理に面接をするのではなく、先生の仕事を手伝ってもらう形の中で会話をするのでも良いでしょう
多くの場合、自信を失っています。自分についての劣等感、たとえば、「自分には力がない」「自分はダメだ」「自分は嫌われている」などと考えていることが少なくありません。

▼個別の話の中で、普段の生活で、辛いことや苦しいことを尋ねます。
また、災害と関連することについて、どのようなことがあって今、その出来事をどう感じるのかを尋ねます。

▼このときに、お子さんの表情の変化を言葉にして返すようにします。
「嫌だったね」「悲しかったね」「苦しんだんだ」「心配だね」「悔しいね」「イライラしちゃうんだ」などです。

▼その上で、「それに伴うさまざまな感情があるのは当たり前のことだ」とその感情を肯定します。
「君に限らず、皆、そんな気持ちを持っているものだよ」と、その気持ちを理解しようと努めます。

▼事実について歪んで理解している場合でも、そう感じるのは仕方がないとします。
「・・・と思ってしまうんだ。そう思ったら心配になるんだね(腹がたつね、悲しいね)」

▼感情は否定しません。
「そんな目にあったので、私は弱い(「私はダメだ」「私は嫌われている」)って思うんだ。」
「そう思うと、悔しくなるし、悲しく感じるよね。それは、我慢しなくていいんだよ」

▼しかし、本人の考えでは、とくに自己理解のところで、それを願いの言葉に置き換えます。
「今はそのように思えなくても良いけど・・」としながら、次のように声をかけます。
「君は強くなりたいって気持ちが強いんだよね。それは悪いことではないと思うよ」
「君は、良くなりたいという気持ちが強いんだと思うよ。君は君でいて良いと思うよ」
「君は人が好きなんだね。だから、嫌われているんじゃないかって心配なんだ」

▼悪い自己概念とは反対の言葉をかけるように、その後、教師は意識します。
「先生は、君は強いなぁと思うよ。そうやって嫌な気持ちをずっとこらえているんだもの」
「君は、今の君のままで十分だと思うけどなぁ」
「先生は嫌いじゃないよ」
「頑張っているのを知っているからね」などです。
「一人でいる方が楽なら、一人でいても良いからね」

▼仲間関係に配慮をします。
「人に好きになってもらうことを大事にするのは素敵だね。でも、最高の人間関係は、「飾らないあなたで良いよ」って言い合える関係だと思うよ。仲間の誰かと、そういう関係になっていったら最高だと思うけど、どうかな?」
「そういう仲間になれるように、先生もできるだけのことはしたいと思うよ」
「先生にしてほしいことあるかな?」
「してほしくないことあるかな?」

◆◆◆この文書は、「東北関東大震災特設 先生のためのメール相談」のコラムの内容です。
【この文書の活用のために】関わりを定める上で大事なことは、子どものこころの状態に合わせることです。子どもの実年齢に適した関わりに、子どもを合わせることではないと思います。

以下の項目は、小学校高学年のお子さんから中・高校生までを、対象の中心とするものです。
ですが、覚えておいていただきたいのは、辛い時は、年齢よりも幼い言動を示す場合も少なくないことです。小学校の先生は、「幼いお子さんの様子に応じた関わり」もお読みください。中学・高校の先生は、「小学生に先生ができること」もお読みください。
子どもの成長には、個人差があります。能力によっても差が出ます。それらを参照していただきながら、目の前のお子さんに適した関わりを探し、より適したものになるように応用してください。
また、ここに示す状態は、災害後、安全・安心が感じられるようになってから、見受けられることが少なくありません。震災直後は、より年齢が低いお子さんの項目をご参照ください。

東北関東大震災子どもの心のケア支援者のために:小林正幸とチーム仕事師さんの写真

写真は「みどりの東北元気キャンプ」より

「思春期以降のお子さんに先生ができること」(1):無気力である・自責の念がある・恥ずかしく感じている・まわりにどう思われているか気にする」への2件のフィードバック

  1. ピンバック: 熊本で実施された「災害時のこころのケア研修会」Q&A:13 | 元気プログラム作成委員会

  2. ピンバック: PTSDの子どもを支援する 各症状にどう関わるか(7)「憂うつ・無気力」の場合 | 元気プログラム作成委員会

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