PTSDの子どもを支援する 各症状にどう関わるか(9)「学校を嫌がる-初期の場合」

PTSDの子どもを支援する 各症状にどう関わるか(9)「学校を嫌がる-初期の場合」

2011年11月23日 22:34

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これは上記の記事を元にしています。

これまでのデータを見る範囲では、災害の後では、不登校は1年程度は減少します。その後、急激に不登校が増加したエリアと、さらに減少したエリアがあります。その違いにはいろいろあると思いますが、災害によって地縁が失われている場合ほど、また、子どもの心のケアへの意識が振り向けられない場合ほど、復旧に向かった段階で、不登校が増えて行くように思います。

ここでは、学校を休み始めた初期の段階を取り上げることにします。長期にわたる不登校は、欠席が長引くことで、問題がどんどん複雑になってきます。この場合は、教育相談室などの機関にご相談ください。

1.基本的な姿勢ーどっしりと構えること

PTSDと呼ぶかどうかは分かりませんが、災害の体験は強い不快な感情体験を生み出します。学校や登校途中でよくあることでも、その不快な感情に似た感情を味わうと、通常以上にダメージを被ります

これは、いじめられた体験のある子どもが、遊びの最中にちょっとした仲間はずれを理由に欠席が始まるような場合にも当てはまります。災害で言えば、たとえば、災害時に保護者と出会うまでに時間がかかったような場合は、「嫌悪」「さみしさ」「悲しみ」「不安」「怒り」「孤独感」などを強く味わいます。この場 合でも、ちょっとした仲間はずれが起きたときに、似たような感情が湧きあがります。そのために、この感情体験が、実際に起きたことで生じる不快感に加わる ことがあるのです。

このようなメカニズムで、辛い感情体験が背後にあることが、不登校の契機を生み出しやすくするのです。

大事なことは、子どもが不快に感じていることを受け取りながら、不快に感じても良いとします。不快に感じてしまうのは仕方がないのですから。

大切なことは、関わる側が、どっしりとした安定感を持って、それを受け止めることなのです。ただ、これは被災地域では、相当に難しいものがあると感じています。なぜなら、同じような感情に包まれた体験が、支援者(保護者や教師)の側にあると、どっしりと受け止めることができないことが多いからなのです。

この課題は、非常に困難なものですので、別に項目を改めて述べることにしたいと思います。

2.保護者が行うことー原因の追求よりも日常生活を大切にする

災害直後もそうですが、不登校の最初では、身体の不調を訴えることが少なくありません。これについては、以下の記事を参考になさってください。

PTSDの子どもを支援する 各症状にどう関わるか(5)「身体症状」の場合

さて、原因を尋ねていけないのではありません。でも、きっと何かがあるはずだと、原因を探り続けるのは、得策ではありません

でも、不登校は、学校で何らかの嫌なことがあったために起きて来るものです。ですので、お子さんに尋ねることは必要だと思います。

「何がどうであれ、あなたの味方になりたい。子どものうちは、あなたを守っていきたい」

「どうも学校に行くのが嫌なように思えるので、学校に行けないのなら、学校の先生に相談に行かなきゃいけないと思っている」

「何も知らないで先生のお話を聞くだけになってしまうと、あなたを守れないかも知れない。全部を話さなくても良いけれど、話しておいた方が良いと思うことは、今のうちに話してほしい」

このときにお子さんがその理由を語るのならば、心情に寄り添って、じっくりと聞くように心がけます。お子さんの見えた世界をそのときには、全て受けいるようにします。

ただし、その事については、大人の目で吟味し、客観的に理解するように努めます。

その上で、「先生に何を話してほしいか、何を話してほしくないのか」を確認します。

このように語っても、お子さんが「先生には何も言う必要がない」 と述べた場合は、お子さん自身は、すでに教師を助ける者にはならないと見切ってしまっていると思えます。この場合は、そのようになるほど、孤立してきた辛さを共有し、「学校行かないまでも、どうしていったら良いのか」を話し会うようにしましょう。一方で、本当は、どのような教師であるかどうかを見て判断するためにも、しっかりと学校側と相談をするようにします。

そして、日常生活は、崩さないようにします。身体の不調がないようなら、昼間は勉強をさせたり、家の手伝いをさせます。不登校を叱責しないこと、努力が足りないとかではなく、学校に行っていない期間を、どう有意義な時間にするのかを考えるようにします。外出を勧め、来客も普段通りに応対するように勧めます。

3.教師が行うことー積極的に温かく関わる

不登校に関わらず、欠席があれば、連絡はもちろん、数日の欠席があれば、お子さんに会うようにします。

最初の段階で、会えない場合は少ないと思いますが、この場合は、メモでも良いので、置手紙を置いていくようにします。

顔を見てほっとした」「心配していたよ」「会えないと寂しいな」「会えて嬉しい
などの言葉をかけます。

先生が登校を促す必要はありません先生が子どもと会おうとすることそのものが、「学校で会いたい」ということを意味します。このことが分からないお子さんはいません。

お子さんとは、お子さん自身が好む活動、趣味があれば、それを30分ほど楽しむようにします。
その間に、今の学校の様子や仲間の様子などを語ります。

お子さんが話の中で表情を失った部分があったら、「この話、嫌かな?」「心配になっちゃったかな?」などと、不快な感情を教師が代弁するようにします。また、趣味などをしているときに、生き生きした表情になった瞬間を捉えて、「楽しそうだねー」「嬉しいねー」「やったね」などと、言葉にしながら、その時間を心地よい時間にするように心がけます

そして、もっと大事なことがあります。

子どもが再登校したときの学校の環境をより居心地が良いものにすること、そのときに、「学校で君に会えて嬉しい」ということが、お子さんに陰に陽に伝わり、お子さんが学校に来て良かったと感じられるように工夫をすることです。

お子さんが、ひっかかったものが、学級内の人間関係であったのだとしたら、そのことが推察できるのなら、その環境の調整ができるのは、教師しかいません。学 校の中で、安心して、楽にいられること、そして、学校で頑張ったら、そのことがしっかりと、認めてもらえるようにすること、これらは、先生にしかできない ことなのです。

これ以上の詳細な関わり方については、カウンセリング研修センターブレイブで執筆した以下をお勧めします。

小林正幸 監修
『学校でしかできない不登校支援と未然防止』(東洋館出版)
『不登校にしない先生・登校を支援できる先生』(明治図書)

PTSDの子どもを支援する 各症状にどう関わるか(9)「学校を嫌がる-初期の場合」」への2件のフィードバック

  1. ピンバック: 熊本で実施された「災害時のこころのケア研修会」Q&A:12 | 元気プログラム作成委員会

  2. ピンバック: PTSDの子どもを支援する 各症状にどう関わるか 掲載一覧 | 元気プログラム作成委員会

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