PTSDの子どもを支援する 各症状にどう関わるか(8)「幽霊が見える」

PTSDの子どもを支援する 各症状にどう関わるか(8)「幽霊が見える」

2011年12月4日 20:01

 被災直後数ヶ月以内に起きる症状はPTSDと呼びません。それ以降に症状が示される場合のことをPTSDと呼びます。今後のために記事を作成しています。
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「お化けを恐がるんですね」
「お化けですか・・・」
「トイレに行けないときもありまして・・・そのときは、避難所でしたし、トイレは大変でしたけど・・・今も」
「お化けが見えたと最初に言ったときは、そのときが最初?」
「そうなんですけど。今もときどき」

1.判断のポイント

幽霊は、お子さんと関連のある方でしょうか。
どのような頻度で、どのような場合に、それが見えているのか、声を聞くことがあるのでしょうか。
そのことを、どれほど脅威のあることと感じているのかで、関わり方は異なります。

このような場合、いくつかの可能性が考えられます。

一番気を付けなければならないのは、幻覚幻聴と呼ばれるような場合です。これは精神科のお医者さんにご相談しなければならない場合です。この場合は、お薬が必要になりますし、お薬を早目に頂かないと、問題が深刻化していく場合があります。

学校であれば、スクールカウンセラーや養護教諭や校医さんに、まずは、ご相談なさってください。必要に応じて、専門のお医者さんを紹介していただけると思います。

ただ、学業面でも大きな崩れがなく、恐がりになっただけで、日常的には混乱することがない場合では、お薬が必要なほどではないこともあります。とくに、大震災のように、この世と思われないような光景を眺めた場合では、幽霊の形で、幻覚や幻聴が見えることがあります。

 

第 一に、冒頭のお子さんの場合で言えば、暗い集合トイレに行ったときの困惑、強い不快感があったこと、その場所に向かう恐怖があり、その恐さを「お化けを見 た」と語ったことで、大人たちが正面を向いてもらえたことが大きいように感じました。小学校の年齢の場合は、そのことが「霊感がある」ということで、ヒー ローのようになる場合もあります。

第二に、その幽霊が、自分の知っている人で、最近亡くなった人である場合では、「その人 に会いたい」との気持ちが強くあることが関連しているようです。その人の気配のようなものを感じることや、それに似た人を遠くで見た場合、自分の名前を呼 ばれたような気がして振り返るような形で現れます。その瞬間は、懐かしい人とまた会えたような気がして、瞬間、嬉しく感じます。ただ、我に返ったときに、現実の辛さや苦しさが甦ることと、見えないもの、聞こえないものが聞こえてしまったことに、傷つくことになります。

第三は、災害で感じた得も言われぬ恐さが残ってしまい、「幽霊の正体見たり枯れ尾花」の状態になっている場合です。

第一の場合は、周囲の関わり方で、恐がるという症状が維持され、強められていると考えられます。第二、第三の場合は、PTSDの再体験やフラッシュバックのような形で、辛い体験の記憶が、作りだしている幻影ということになります。

冒頭のお子さんは、第一と第三の場合であるように思われました。

2.基本的な関わり

お薬が必要な場合でも、上記のいずれの場合でも、あるいは、霊感のようなものが仮にあるとしても、普段の関わりで必要なことを述べます。

お子さん自身の様子をよく分かるためにも、大人が一緒にいる時間を増やした方が良いかもしれません。
遊興的な楽しさよりは、おとなしくお絵かきや、何か一緒に作ることや、教師の仕事を手伝ってもらうようなことをなさりながら、まったりと、落ち着ける時間、一緒に穏やかにいる時間を、持たれると良いように思います。

ぼんやりしていたときや、何かを恐がっている様子があるときは、身体に触れ、名前を呼ぶことや、「大丈夫よー」と声をかけるようになさってください。

オバケの話をしてきてくれた場合は、そのようなものが見えることや感じることを否定する必要はありません。ですが、そのようなことを、ことさらに凄いことや、大変なことと受け取る必要はないと思います。頭から否定することや、相手にしないのも問題ですが、そのことにだけ興味を持ちすぎることも望ましくありません
(こ れは、問題の軽重を問わずの話です。大変なこととして扱ったり、頭から否定してしまうと、お子さん自身が委縮して、そのように見えることを語ってくれなく なる場合があります。相手にしないでいると、語ることを避けるかも知れません。また、あまりに興味を持って聞きすぎると、相手を喜ばせようとして、お話が 広がってしまうかも知れませんし、症状が進んでしまう場合もあります)

「そんなこともあるかもね」と、どっしりと構えます。

見えることを否定するのではなく、本人には見えることは前提にしながら、
こちらには見えないこと
を伝えます。

3.幽霊の話をしてきた場合

見えて嫌なものであるのならば、それは見えないように、
自分にせめて害がないものになるようにする方法を一緒に考える
のが基本だと思います。

霊感が強かろうが、弱かろうが、それが不快であるのであれば、そのようなものが見える場所に近寄らないことが大事でしょうし、それを遠ざけることがでできるようにしていくことが大事なことだと思います。

具体的には、一番、親密に話せる大人が、次のおまじないを一緒に考えられると良いと思います。

たとえば、

「私のところに来ないでください」
「私の見えないところに行ってください」
「そうすれば大丈夫って言う話を聞いたよ」
というように話すと良いかも知れません。

なお、懐かしい亡くなった知り合いに会ったという場合には、そのときに感じた懐かしく嬉しかった感情と、その人に会えなくなったという悲しさや寂しさをしっかりと共有されることが大事なのだと思います。

それが、保護者のような存在であれば、
「いつも近くにいて、見守ってくれているのかも知れないね」と、
その感覚があることを良いこととしてゆったりと語ることもできます。

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みどりの東北元気キャンプ 春キャンプ

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